『おめでとう東京』で商標法・不正競争防止法違反? 


 新聞報道にて、オリンピック及びそのような著名表示を不正利用する広告を制限される旨の報道がありましたね。
http://www.j-cast.com/2013/09/10183517.html

 しかし、本当に『おめでとう東京』で商標法・不正競争防止法違反となるのでしょうか。

 商標権侵害の要件(請求原因)は
① 被告標章が登録商標と同一・類似であること
② 被告標章が使用されている商品(役務)が登録商標の指定商品(役務)と同一・類似であることが要件ですが…

 『オリンピック』等に商標権を有しているからといって
『おめでとう東京』とは標章が同一・類似(類似性の判断は下記・観念類似)とは一概にはいえないように思えます。

  


 また、「おめでとう東京」では、不正競争防止法の需要者の間に広く認識されている他人の商品等表示と同一または類似の商品等表示を使用し、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為(商品等の主体混同行為(第1号))や

 他人の著名な商品等表示と同一または類似のものを自己の商品等表示として使用する行為(著名表示の不正利用(第2号)にもあたらないように思えます。

 ならば、現在の日本法では、上記のような表記まで知的財産権で制限するのは過剰なように思えますが・・・。

 もちろん、他の条文・法規で保護される可能性はありますし、法律上保護される利益を権利侵害されたとして一般不法行為が成立する余地はあるかもしれません。
 
 早めに弁護士や学者の方等の専門家の見解を聞いてみたいですね。


■ 追記

 類似性の判断についは、商標の有する外観、称呼および観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察して決めれます。

 そして、本件では、外観・呼称は同一でなくとも、オリンピックとおめでとう東京との観念が類似していると判断される場合には、商標権侵害となる可能性があるとも考えられますね。

 しかし、実際には個別具体的な取引のケースでしかみようがないですね。

 客観的な一般的取引者・需要者が用いる通常の注意力をもって、『オリンピック』を観念できるか否かですが、観念類似とされるのが「星」「スター」とか近接したものが多いイメージです。

 商品・役務が同一又は類似であることが前提に、取引者、需要者の通常の注意力が基準にして、総合的にみたときに観念が類似して出所の混同の虞があるとして、『おめでとう東京』と、『オリンピック』とを観念類似といえるかは、やや広すぎるようにも思えますが…

 ましてや「指定商品・指定役務と同一又は類似の商品」自体ではなく『おめでとう東京』としてセールすること自体禁止する法的根拠にはとぼしいように思えます。



■ 条文
不正競争防止法2条 (定義)

1 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。

一 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為

二 自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為

三 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為

四 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「不正取得行為」という。)又は不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。以下同じ。)

五 その営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為

六 その取得した後にその営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為

七 営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の競業その他の不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為

八 その営業秘密について不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為

九 その取得した後にその営業秘密について不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為

十 営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為

十一 他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為

十二 不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為

十三 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為

十四 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為

十五 パリ条約(商標法 (昭和34年法律第127号)第4条第1項第2号 に規定するパリ条約をいう。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法 条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。以下この号において単に「権利」という。)を有する者の代理人若しくは代表者又はその行為の日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者が、正当な理由がないのに、その権利を有する者の承諾を得ないでその権利に係る商標と同一若しくは類似の商標をその権利に係る商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務に使用し、又は当該商標を使用したその権利に係る商品と同一若しくは類似の商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは当該商標を使用してその権利に係る役務と同一若しくは類似の役務を提供する行為


※ 私は、商標法・不正競争防止法についてはまだ十分な学習をしていないので、的外れな記事である可能性が高いです。

※ 本記事は不確実な情報を基に作成されており、当見解にたって損害が発生した場合にも何らの責任を負いかねます。専門家の意見を聞いたうえで行動することをお勧め致します。