2013-01-01から1年間の記事一覧

専用品に関する間接侵害 一眼レフカメラ事件 

(1)専用品に関する間接侵害 一眼レフカメラ事件 東京地判昭和56年2月25日 理 由 一 原告が本件特許権について昭和四四年一二月二日その設定の登録を受け力ことは当事者冊に争いがなく、これによれば、格別の事由の認められない本件においては、原告は、同…

警職法2条1項 職務質問 判例整理

警察官職務執行法 (質問) 第二条 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについ…

平成21年 重要判例 民法(2)

□ 担保不動産収益執行における収益に係る給付を求める権利の帰属および担保不動産の賃借人からの相殺(最二小判平成21・7・3)事案の概要 ① 建物に設定された抵当権に基づく担保不動産収益執行の開始決定がされ、その管理人に選任されたXが、同建物の過半数…

平成21年 重要判例 商法

□ 新聞社の従業員持株制度における株式譲渡制限に関する合意の有効性 (最三小判平成21・2・17) 日刊新聞の発行を目的とする株式会社であって,定款で株式の譲渡制限を規定するとともに,日刊新聞法1条に基づき,Y1株式の譲受人を同社の事業に関係ある者…

平成21年 重要判例 民法(1)

□農業協同組合の組合員代表訴訟の適法性および合併契約の条項に基づく理事等の責任 (最三小判平成21・3・31)事案の概要 ①A農協等は、平成13年2月15日に、同年9月1日に合併してB農協を新設する旨の合併契約を締結した。 ②合併契約中には、A農協の貸倒引…

会社法423条1項 任務懈怠の判例整理1

会社法423条1項 任務懈怠の判例整理1会社法423条1項 取締役、会計参与、監査役、執行役または会計監査人は、「その任務を怠ったとき」ときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。「その任務を怠ったとき」とは、役員等が負うべ…

会社法120条「株主の権利の行使に関し」・関係判例

会社法120条「株主の権利の行使に関し」・関係判例株主の権利の行使に関する利益の供与1項 株式会社は、何人に対しても、「株主の権利の行使に関し」、「財産上の利益の供与」(当該株式会社又はその子会社の計算においてするものに限る)をしてはならない。…

抵当権を設定した後に所有権移転登記をした行為と横領罪 最大判平成15年4月23日

抵当権を設定した後に所有権移転登記をした行為と横領罪 最大判平成15年4月23日 委託を受けて他人の不動産を占有する者が,これにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後,これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を…

カードを詐取した上でATMから現金を引き出した行為と詐欺罪・窃盗罪 最決平成14年2月8日 

カードを詐取した上でATMから現金を引き出した行為と詐欺罪・窃盗罪 最決平成14年2月8日 消費者金融会社の係員を欺いてローンカードを交付させた上これを利用して同社の現金自動入出機から現金を引き出した場合には,同係員を欺いて同カードを交付させた…

最判平成15年2月14日 大津覚せい剤事件 違法収集証拠排除と違法性承継

最判平成15年2月14日 大津覚せい剤事件 違法収集証拠排除と違法性承継被疑者の逮捕手続には,逮捕状の呈示がなく,逮捕状の緊急執行もされていない違法があり,これを糊塗するため,警察官が逮捕状に虚偽事項を記入し,公判廷において事実と反する証言をする…

天王寺覚せい剤事件 違法収集証拠排除法則 最判昭和53年9月7日

天王寺覚せい剤事件 違法収集証拠排除法則最判昭和53年9月7日は、最高裁として違法収集排除法則を宣言した初めての判例として重要です。 主 文 原判決及び第一審判決を破棄する。 本件を大阪地方裁判所に差し戻す。 理 由 (本件の経過) 一 第一審裁判所は…

ガラス多孔体事件 知財高裁平成20年5月29日 平成19年(ネ)第10037号

ガラス多孔体事件 知財高裁平成20年5月29日 平成19年(ネ)第10037号法的判断のみ 主 文 1 原判決を取り消す。 2 原告の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,第1,2審を通じて原告の負担とする。 事実及び理由第1 当事者の求めた裁判 1 被告(控訴…

自己名義の口座に振り込まされた資金の払い出し(最決平成19年7月10日)

自己名義の口座に振り込まされた資金の払い出し(最決平成19年7月10日)公共工事の請負者甲が,地方公共団体から使途を限定して甲名義の預金口座に振り込まれた前払金につき,上記使途に沿った下請業者乙に対する支払と偽って預金の払出しを請求し,その旨誤…

長銀粉飾決算事件上告審判決 最判平成20年7月18日

長銀粉飾決算事件上告審判決 最判平成20年7月18日■ 要旨 旧株式会社日本長期信用銀行の平成10年3月期に係る有価証券報告書の提出及び配当に関する決算処理について,資産査定通達等によって補充される改正後の決算経理基準(判文参照)は,関連ノン…

 長銀粉飾決算事件 東京高裁平成17年6月21日

長銀粉飾決算事件 東京高裁平成17年6月21日 ■ 長銀粉飾決算事件旧日本長期信用銀行(現新生銀行)の決算において、不良債権を処理せず、損失を少なく記載した有価証券報告書を提出し、株主に違法配当した事例について、当時の長銀代表取締役らに、証券…

インターネット上の名誉毀損的表現と真実であると誤信したことについて相当の理由について 最判平成22年3月15日

インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても,他の表現手段を利用した場合と同様に,行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しない…

自炊業者に対する差止め・弁護士費用についての損害賠償が認められた事例 東京地裁平成25年9月30日

※自炊業者に対する差止め・弁護士費用についての損害賠償が認められた事例です。ロクラクⅡ最判を使い、複製主体が誰であるかを判断していること及び弁護士費用が損害賠償として相当因果関係に含まれると判断していることが着目でしょうか。 平成25年9月3…

偽計による自白 最大判昭和45年11月25日

偽計による自白 最大判昭和45年11月25日■ 事案の概要 被告人は、法定の除外事由がないのに、妻と共謀し、昭和38年10月ころから昭和40年11月1日ころまでの間、被告人方において、旧日本軍拳銃及び実包3発を隠匿所持したとして、鉄砲刀剣類所持等取締法違反、…

約束による自白 最判昭和41年7月1日

約束による自白 最判昭和41年7月1日■ 事案の概要・被告人は、税務署所得税係りに勤務し、所得税算定の基礎となる所得金額及び利益等の決定に関する職務に従事していた。 ・被告人は、Yら名から、所得金額などの査定について行為ある取扱い型を請託され、そ…

自動販売機への有害書籍類の収納禁止の合憲性 福島県少年健全育成条例事件 平成21年3月9日

平成21年3月9日 福島県青少年健全育成条例違反被告事件 主 文 本件各上告を棄却する。 理 由1 被告人両名の弁護人落合洋司の上告趣意のうち,福島県青少年健全育成条例(以下「本条例」という。)21条1項,34条2項(平成19年3月20日福島県条例第…

前科による犯罪事実の立証について 最判平成25年2月20日決定

事件番号 平成23(あ)1789 事件名 住居侵入,窃盗,現住建造物等放火,窃盗未遂被告事件 裁判年月日 平成25年02月20日 法廷名 最高裁判所第一小法廷 裁判種別 決定 結果 棄却 前科による犯人性の立証については、平成24年9月7日判決が、①「顕著な特徴」を…

戸籍法条の婚外子を別に記載すべきものと定める部分は憲法14条1項に反しないとした事例 最判平成25年9月26日

事件番号 平成24(行ツ)399 事件名 住民票記載義務付け等請求事件 裁判年月日 平成25年09月26日 法廷名 最高裁判所第一小法廷 裁判種別 判決 結果 棄却 戸籍法49条2項1号の規定のうち出生の届出に係る届書に嫡出子又は嫡出でない子の別を記載すべきものと…

希望の壁事件 大阪地裁仮処分 平成25年9月6日

希望の壁事件 仮処分を却下した事例 大阪地裁 平成25年9月6日平成25年(ヨ)第20003号 工作物設置続行禁止仮処分申立事件 決定債権者 P 1 同代理人弁護士 奥村太朗 同 岡崎行師 同 市場健吾 同 辻岡信也 債務者 積水ハウス株式会社 同代理人弁…

福岡県青少年保護育成条例事件 最判昭和60年10月23日

福岡県青少年保護育成条例事件 最判昭和60年10月23日 主 文 本件上告を棄却する。 理 由■ 争点 一 被告人本人の上告趣意第一部の二ないし四及び第二部の一ないし四は、福岡県青少年保護育成条例(以下、「本条例」という。)一〇条一項、一六条一項の規定は…

岐阜市青少年保護育成条例事件 最判平成元年9月19日

岐阜県青少年保護育成条例事件 主 文 本件上告を棄却する。 理 由 一 弁護人青山學、同井口浩治の上告趣意のうち、憲法二一条一項違反をいう点は、岐阜県青少年保護育成条例(以下「本条例」という。)六条二項、六条の六第一項本文、二一条五号の規定による…

使用者安全配慮義務違反を理由とする労働者の損害賠償請求と弁護士費用 最判平成24年2月24日

使用者安全配慮義務違反を理由とする労働者の損害賠償請求と弁護士費用 最判平成24年2月24日第1 条文・判例最判昭和44年2月27日思うに、わが国の現行法は弁護士強制主義を採ることなく、訴訟追行を本人が行なうか、弁護士を選任して行なうかの選…

遺言による相続分の指定が遺留分を侵害した場合における遺留分減殺請求の効果 最判平成24年1月26日

遺言による相続分の指定が遺留分を侵害した場合における遺留分減殺請求の効果 最判平成24年1月26日第1 条文 (遺言による相続分の指定) 第902条 被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第…

(3)仙台高裁  平成25年09月17日 裁判所が認定した事実関係の経過

5 裁判所が認定した本件の事実経過 本件の事実経過は,前記前提事実のほか,括弧書きで摘示した証拠(甲5,109〜116,124,125,乙8〜14,21〜23,原告亡G母を除く原告ら本人7名の各供述,被告代表者B3供述,被告B2園長供述,I…

 東日本大震災の地震発生後,高台にある幼稚園から眼下の海沿いの地域に向けて幼稚園送迎バスを出発させ,園児4名が津波に被災して死亡するに至った事案について,被告幼稚園長には情報収集義務違反の懈怠があり,被告幼稚園経営法人と共に損害賠償責任があると判断された事例 仙台高裁 (1)当事者の主張平成25年09月17日

東日本大震災の地震発生後,高台にある幼稚園から眼下の海沿いの地域に向けて幼稚園送迎バスを出発させ,園児4名が津波に被災して死亡するに至った事案について,被告幼稚園長には情報収集義務違反の懈怠があり,被告幼稚園経営法人と共に損害賠償責任があ…

 東日本大震災の地震発生後,高台にある幼稚園から眼下の海沿いの地域に向けて幼稚園送迎バスを出発させ,園児4名が津波に被災して死亡するに至った事案について,被告幼稚園長には情報収集義務違反の懈怠があり,被告幼稚園経営法人と共に損害賠償責任があると判断された事例(4)裁判所の法的判断 仙台高裁  平成25年09月17日

東日本大震災の地震発生後,高台にある幼稚園から眼下の海沿いの地域に向けて幼稚園送迎バスを出発させ,園児4名が津波に被災して死亡するに至った事案について,被告幼稚園長には情報収集義務違反の懈怠があり,被告幼稚園経営法人と共に損害賠償責任があ…