刑事

最判平成21年12月8日 精神医学者の精神鑑定における意見のうち被告人が心神喪失の状態にあったとする部分を前提資料や推論過程に疑問があるとして採用せず,責任能力の有無・程度について,被告人の犯行当時の病状,犯行前後の言動や犯行の動機,従前の生活状態から推認される人格傾向等を総合考慮して,統合失調症による病的体験と犯行との関係,被告人の本来の人格傾向と犯行との関連性の程度等を検討し,被告人が心神耗弱の状態にあったと認定した原判決の判断手法に誤りはないとした事例

最判平成21年12月8日 精神医学者の精神鑑定における意見のうち被告人が心神喪失の状態にあったとする部分を前提資料や推論過程に疑問があるとして採用せず,責任能力の有無・程度について,被告人の犯行当時の病状,犯行前後の言動や犯行の動機,従前の…

最判平成27年4月15日 準強制わいせつ被告事件において保釈を許可した原々決定を取り消して保釈請求を却下した原決定に刑訴法90条,426条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

最判平成27年4月15日 準強制わいせつ被告事件において保釈を許可した原々決定を取り消して保釈請求を却下した原決定に刑訴法90条,426条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例 事件番号 平成27(し)223 事件名 保釈許可決定に対する抗告の決定…

最判平成23年9月14日 被害者の証人尋問において,捜査段階で撮影された被害者による被害再現写真を示すことを許可し,証人に示した写真を証人尋問調書に添付した裁判所の措置に違法がないとされた事例

最判平成23年9月14日 被害者の証人尋問において,捜査段階で撮影された被害者による被害再現写真を示すことを許可し,証人に示した写真を証人尋問調書に添付した裁判所の措置に違法がないとされた事例事件番号 平成21(あ)1125 事件名 強制わいせつ被告…

最判平成22年3月17日 街頭募金詐欺について包括一罪と解することができるとされた事例

最判平成22年3月17日 街頭募金詐欺について包括一罪と解することができるとされた事例 事件番号 平成21(あ)178 事件名 職業安定法違反,詐欺,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反 裁判年月日 平成22年3月17日 法廷名 最高裁判所第…

最判平成22年10月26日  航行中の航空機同士の異常接近事故について,便名を言い間違えて降下の管制指示をした実地訓練中の航空管制官及びこれを是正しなかった指導監督者である航空管制官の両名に業務上過失傷害罪が成立するとされた事例

最判平成22年10月26日 航行中の航空機同士の異常接近事故について,便名を言い間違えて降下の管制指示をした実地訓練中の航空管制官及びこれを是正しなかった指導監督者である航空管制官の両名に業務上過失傷害罪が成立するとされた事例 事件番号 平成…

最判平成23年4月28日 共同配信記事名誉毀損事件

最判平成23年4月28日 共同配信記事名誉毀損事件事件番号 平成21(受)2057 事件名 損害賠償請求事件 裁判年月日 平成23年4月28日 法廷名 最高裁判所第一小法廷 裁判種別 判決 結果 棄却 判例集等巻・号・頁 民集 第65巻3号1499頁 原審裁判所名 東京高等裁…

最判平成21年11月30日 分譲マンションの各住戸に政党の活動報告等を記載したビラ等を投かんする目的で,同マンションの共用部分に管理組合の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことが,憲法21条1項に違反しないとされた事例

最判平成21年11月30日 分譲マンションの各住戸に政党の活動報告等を記載したビラ等を投かんする目的で,同マンションの共用部分に管理組合の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことが,憲法21条1項に違反しないとされた…

最判平成24年2月29日  現住建造物等放火被告事件につき,ガスコンロの点火スイッチを作動させて点火し,台所に充満したガスに引火,爆発させたとの訴因に対し,訴因変更手続を経ることなく,何らかの方法により上記ガスに引火,爆発させたと認定したことは,引火,爆発の原因が上記スイッチの作動以外の行為であるとした場合の被告人の刑事責任について検察官の予備的な主張がなく,そのような行為に関し求釈明や証拠調べにおける発問等もされていなかったなどの審理経過の下では,被告人に不意打ちを与えるものとして違法であるとした事例

最判平成24年2月29日 現住建造物等放火被告事件につき,ガスコンロの点火スイッチを作動させて点火し,台所に充満したガスに引火,爆発させたとの訴因に対し,訴因変更手続を経ることなく,何らかの方法により上記ガスに引火,爆発させたと認定したこと…

最決平成25年2月26日  被告人質問において被告人に示され,公判調書中の被告人供述調書に添付されたが,これとは別に証拠として取り調べられていない本件の電子メールは,その存在及び記載が記載内容の真実性と離れて証拠価値を有するものであり,被告人に対してこれを示して質問をした手続に違法はなく,被告人がその同一性や真正な成立を確認したとしても,独立の証拠又は被告人の供述の一部となるものではないとした事例

最決平成25年2月26日 被告人質問において被告人に示され,公判調書中の被告人供述調書に添付されたが,これとは別に証拠として取り調べられていない本件の電子メールは,その存在及び記載が記載内容の真実性と離れて証拠価値を有するものであり,被告人…

最判平成26年11月25日 不特定の者である顧客によるダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用した送信により,わいせつな動画等のデータファイルを同人の記録媒体上に記録,保存させることは,刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の「頒布」に当たるとした事例

最判平成26年11月25日 不特定の者である顧客によるダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用した送信により,わいせつな動画等のデータファイルを同人の記録媒体上に記録,保存させることは,刑法175条1項後…

最判平成24年2月13日 医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた医師が,当該鑑定を行う過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為は,医師がその業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏示するものとして刑法134条1項の秘密漏示罪に該当するとした事例

最判平成24年2月13日 医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた医師が,当該鑑定を行う過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為は,医師がその業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏示す…

最判平成20年11月10日 ショッピングセンターにおいて女性客の後ろを執ように付けねらい,デジタルカメラ機能付きの携帯電話でズボンを着用した同女の臀部を近い距離から多数回撮影した本件行為(判文参照)は,被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不安を覚えさせるような卑わいな言動に当たるとした事例

最判平成20年11月10日 ショッピングセンターにおいて女性客の後ろを執ように付けねらい,デジタルカメラ機能付きの携帯電話でズボンを着用した同女の臀部を近い距離から多数回撮影した本件行為(判文参照)は,被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不…

最判平成23年10月31日  飲酒酩酊状態にあった被告人が直進道路において高速で自動車を運転中,先行車両に追突し,死傷の結果を生じさせた事案につき,被告人はアルコールの影響により前方を注視してそこにある危険を的確に把握して対処することができない状態にあったとして,危険運転致死傷罪が成立するとされた事例

最判平成23年10月31日 飲酒酩酊状態にあった被告人が直進道路において高速で自動車を運転中,先行車両に追突し,死傷の結果を生じさせた事案につき,被告人はアルコールの影響により前方を注視してそこにある危険を的確に把握して対処することができな…

最判平成27年3月24日  再審請求人が,住居の届出をした後,裁判所に対してその変更届出等をしてこなかった一方で,裁判所も,同人の所在を把握できず,その端緒もなかったなどの判示の事実関係の下では,同人が別件で刑事施設に収容されていたとしても,上記届出住居に宛てて行った同人に対する再審請求棄却決定謄本の書留郵便に付する送達は,刑訴規則63条1項によるものとして有効であるとした事例

最判平成27年3月24日 再審請求人が,住居の届出をした後,裁判所に対してその変更届出等をしてこなかった一方で,裁判所も,同人の所在を把握できず,その端緒もなかったなどの判示の事実関係の下では,同人が別件で刑事施設に収容されていたとしても,…

最判平成27年3月10日  裁判員裁判における審理及び裁判の特例である区分審理制度は,憲法37条1項に違反しないとした事例

事件番号 平成25(あ)755 事件名 営利誘拐幇助,逮捕監禁幇助,強盗殺人幇助,殺人被告事件 裁判年月日 平成27年3月10日 法廷名 最高裁判所第三小法廷 裁判種別 判決 結果 棄却 判例集等巻・号・頁 原審裁判所名 仙台高等裁判所 原審事件番号 平成24(う)18 原…

平成24年 重要判例要旨(刑事系)

刑事 最決平成24年1月30日 睡眠薬等を摂取させて数時間にわたり意識障害及び筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせた行為につき傷害罪の成立が認められた事例要旨 病院で勤務中ないし研究中であった者に対し,睡眠薬等を摂取させたことによって…

最判平成26年7月24日 虐待死についての裁判員裁判での懲役10年の求刑を超えて1・5倍の懲役15年で処した第1審判断及びこれを肯定した原審判決について、量刑不当であるとして破棄された事例

最判平成26年7月24日 裁判員裁判での懲役10年の求刑を超えて1・5倍の懲役15年で処した第1審判断及びこれを肯定した原審判決について、量刑不当であるとして破棄された事例刑事訴訟法411条2号上告裁判所は、第405条各号に規定する事由がな…

鹿児島地裁平成26年7月9日 住居侵入・現住建造物等放火

鹿児島地裁平成26年7月9日 住居侵入・現住建造物等放火 平成25年(わ)第242号 住居侵入,現住建造物等放火(変更後の訴因 住居 侵入,現住建造物等放火,重過失致死)被告事件 事件番号 平成25(わ)242 事件名 住居侵入,現住建造物等放火,重過…

居直り強盗と事後強盗の区別

居直り強盗と事後強盗の区別事後強盗(刑法238条) 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたちきは、強盗しして論ずる。居直り強盗とは、窃盗に着手後、家人に発見され居直って暴行・…

最判平成8年1月29日 「逮捕の現場」からの別の場所に連行しての捜索・差押え

最判平成8年1月29日 「逮捕の現場」からの別の場所に連行しての捜索・差押え 事件番号 平成5(あ)518 事件名 兇器準備集合、傷害 裁判年月日 平成8年01月29日 法廷名 最高裁判所第三小法廷 裁判種別 決定 結果 棄却 判例集等巻・号・頁 刑集 第50巻1号1頁…

最判平成24年2月8日 トラックのハブ輪切り破損事故とトラック製造会社の品質保証業務担当者の過失

最判平成24年2月8日 トラックのハブ輪切り破損事故とトラック製造会社の品質保証業務担当者の過失 事件番号 平成21(あ)359 事件名 業務上過失致死傷被告事件 裁判年月日 平成24年02月08日 法廷名 最高裁判所第三小法廷 裁判種別 決定 結果 棄却 判例集等…

最判平成24年2月13日 医師が鑑定過程で知り得た秘密を漏らす行為が秘密漏示罪にあたるとした事例

最判平成24年2月13日 医師が鑑定過程で知り得た秘密を漏らす行為が秘密漏示罪にあたるとした事例※鑑定人の医師が少年事件記録の写しを他人に閲覧させるした行為を、秘密漏示罪が成立するとしたはじめての最高裁判例。 事件番号 平成22(あ)126 事件名 秘…

最判平成25年4月15日  刑法208条の2第1項前段の危険運転致死傷罪の正犯者である職場の後輩がアルコールの影響により正常な運転が困難な状態であることを認識しながら,車両の発進を了解し,同乗して運転を黙認し続けた行為について,同罪の幇助罪が成立するとされた事例

事件番号 平成23(あ)2249 事件名 危険運転致死傷幇助被告事件 裁判年月日 平成25年04月15日 法廷名 最高裁判所第三小法廷 裁判種別 決定 結果 棄却 判例集等巻・号・頁 刑集 第67巻4号437頁 原審裁判所名 東京高等裁判所 原審事件番号 平成23(う)521 原審裁…

最判平成24年2月22日 実母及び実子2名を殺害し,その保険金等を詐取したとして起訴された事案につき,被告人の自白の信用性を否定するなどして無罪とした第1審判決を維持した原判決が是認された事例

事件番号 平成22(あ)174 事件名 詐欺,殺人,殺人未遂,現住建造物等放火被告事件 裁判年月日 平成24年02月22日 法廷名 最高裁判所第一小法廷 裁判種別 決定 結果 棄却 判例集等巻・号・頁 集刑 第307号509頁 原審裁判所名 広島高等裁判所 原審事件番号 平成…

神戸地裁平成24年1月11日 JR福知山線脱線事故訴訟

神戸地裁平成24年1月11日 JR福知山線脱線事故訴訟事件番号 平成21(わ)695 事件名 業務上過失致死傷 裁判年月日 平成24年01月11日主文 被告人は無罪。第1 本件公訴事実の要旨 訴因変更後の公訴事実の要旨は,次のとおりである。 1 被告人は,西日本旅…

平成22年3月17日 街頭募金詐欺について包括一罪と解することができるとされた事例

事件番号 平成21(あ)178 事件名 職業安定法違反,詐欺,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反 裁判年月日 平成22年03月17日 法廷名 最高裁判所第二小法廷 裁判種別 決定 結果 棄却 判例集等巻・号・頁 刑集 第64巻2号111頁 原審裁判所名 …

平成21年12月7日 気管支ぜん息の重積発作により入院しこん睡状態にあった患者から,気道確保のため挿入されていた気管内チューブを抜管した医師の行為が,法律上許容される治療中止に当たらないとされた事例

※終末期医療において適法な治療行為の中止というものが認められるのか否かが問題となった。事件番号 平成19(あ)585 事件名 殺人被告事件 裁判年月日 平成21年12月07日 法廷名 最高裁判所第三小法廷 裁判種別 決定 結果 棄却 判例集等巻・号・頁 刑集 第63巻1…

最判平成24年10月9日  1 家庭裁判所から選任された成年後見人が業務上占有する成年被後見人所有の財物を横領した場合,成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があっても,同条項は準用されない。 2 家庭裁判所から選任された成年後見人が業務上占有する成年被後見人所有の財物を横領した場合,成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があることを量刑上酌むべき事情として考慮するのは相当ではない。

事件番号 平成24(あ)878 事件名 業務上横領被告事件 裁判年月日 平成24年10月09日 法廷名 最高裁判所第二小法廷 裁判種別 決定 結果 棄却 判例集等巻・号・頁 刑集 第66巻10号981頁 原審裁判所名 東京高等裁判所 原審事件番号 平成24(う)403 原審裁判年月日 …

最判平成24年7月9日  児童ポルノのURLをホームページ上に明らかにした行為は,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の「公然と陳列した」には当たらないとする反対意見が付された事例

事件番号 平成21(あ)2082 事件名 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件 裁判年月日 平成24年07月09日 法廷名 最高裁判所第三小法廷 裁判種別 決定 結果 判例集等巻・号・頁 集刑 第308号53頁 原審裁判所名 大阪…

平成22年10月26日 航空機ニアミス事件

*本件の過失行為 ①TCASの機能の状況 ②907便に対する本件降下指示が出された頃には,ほぼ同高度を907便が上昇958便が巡航していたことから、 ③958便に降下RAが発出される可能性が高い状況にあったにもかかわらず ④907便に対し本件降下…