平成24年 重要判例要旨(刑事系)
刑事
最決平成24年1月30日
睡眠薬等を摂取させて数時間にわたり意識障害及び筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせた行為につき傷害罪の成立が認められた事例
要旨
病院で勤務中ないし研究中であった者に対し,睡眠薬等を摂取させたことによって,約6時間又は約2時間にわたり意識障害及び筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせた行為は,傷害罪を構成する。
最判平成24年2月13日
1 刑訴法382条にいう事実誤認の意義
2 刑訴法382条にいう事実誤認の判示方法
3 覚せい剤を密輸入した事件について,被告人の故意を認めず無罪とした第1審判決に事実誤認があるとした原判決に,刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
要旨
1 刑訴法382条の事実誤認とは,第1審判決の事実認定が論理則,経験則等に照らして不合理であることをいう。
2 控訴審が第1審判決に事実誤認があるというためには,第1審判決の事実認定が論理則,経験則等に照らして不合理であることを具体的に示す必要がある。
3 覚せい剤を密輸入した事件について覚せい剤を輸入する認識がなかった旨の弁解が排斥できないなどとして,被告人を無罪とした第1審判決に事実誤認があるとした原判決は,その弁解が客観的事実関係に一応沿うもので第1審判決のような評価も可能であることなどに照らすと,第1審判決が論理則,経験則等に照らして不合理であることを十分に示したものとはいえず(判文参照),刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があり,同法411条1号により破棄を免れない。
最判平成24年1月13日
裁判員制度による審理裁判を受けるか否かについての選択権と憲法32条,37条
要旨 裁判員制度による審理裁判を受けるか否かについて被告人に選択権が認められていないからといって,同制度は憲法32条,37条に違反しない。