2013-01-01から1年間の記事一覧

荷送人の依頼に基づき宅配便業者の運送過程下にある荷物について,捜査機関が,捜査目的を達成するため,荷送人や荷受人の承諾を得ずに,これに外部からエックス線を照射して内容物の射影を観察する行為は,検証としての性質を有する強制処分に当たり,検証許可状によることなくこれを行うことは違法であるとした事例 最高裁決定平成21年9月28日

荷送人の依頼に基づき宅配便業者の運送過程下にある荷物について,捜査機関が,捜査目的を達成するため,荷送人や荷受人の承諾を得ずに,これに外部からエックス線を照射して内容物の射影を観察する行為は,検証としての性質を有する強制処分に当たり,検証…

 共犯者とされる証人の証言拒絶が刑訴法321条1項2号前段のいわゆる供述不能に当たるとしてその検察官調書を採用した訴訟手続に法令違反があるとされた事例 東京高等裁判所 第8刑事部 平成22年05月27日

共犯者とされる証人の証言拒絶が刑訴法321条1項2号前段のいわゆる供述不能に当たるとしてその検察官調書を採用した訴訟手続に法令違反があるとされた事例 東京高等裁判所 第8刑事部 平成22年05月27日裁判要旨 共犯者とされる証人が自らの刑事裁判が係…

裁判所が外国人について証人尋問の決定をしているにもかかわらず強制送還が行われた場合であっても,裁判所及び検察官が証人尋問の実現に向けて尽力し,入国管理当局も可能な限りこれに協力しようとしていたなど判示の事情の下においては,当該外国人の捜査官に対する供述調書を刑訴法321条1項2号ないし3号に基づき証拠とすることが許容されるとした事例 東京高裁平成20年10月16日

裁判所が外国人について証人尋問の決定をしているにもかかわらず強制送還が行われた場合であっても,裁判所及び検察官が証人尋問の実現に向けて尽力し,入国管理当局も可能な限りこれに協力しようとしていたなど判示の事情の下においては,当該外国人の捜査…

被疑者が宿泊しているホテル客室に対する捜索差押許可状の執行に当たり,捜索差押許可状の呈示に先立って警察官らがホテル客室のドアをマスターキーで開けて入室した措置は,差押対象物件である覚せい剤を短時間のうちに破棄隠匿されるおそれがあったことなど判示の事情の下では,適法であるとした事例 最決平成14年10月4日

被疑者が宿泊しているホテル客室に対する捜索差押許可状の執行に当たり,捜索差押許可状の呈示に先立って警察官らがホテル客室のドアをマスターキーで開けて入室した措置は,差押対象物件である覚せい剤を短時間のうちに破棄隠匿されるおそれがあったことな…

2020年東京オリンピックと知財法への影響についての早稲田医学知的財産法制度研究制度センターのコラム

早稲田大学知的財産法制度研究制度センターのコラムに オリンピックと知的財産法制度についての非常に有益なコラムが掲載されていますので、紹介させていただきます。法的根拠などにも明確に指摘されており、信頼性のある非常に役に立つ情報ですね。http://w…

設計図面の著作物性 丸棒矯正設計図事件 大阪地裁平成4年4月30日

設計図面の著作物性 丸棒矯正設計図事件 大阪地裁平成4年4月30日 ★実用の機械の著作物性を否定する一方で、その機械の設計図については、原告の設計担当の従業員らが研究開発の過程で得た技術的な知見を反映したもので、機械工学上の技術思想を表現した…

一事不再理効と常習特殊窃盗事案  前訴及び後訴の各訴因が共に単純窃盗罪である場合には,両者が実体的には一つの常習特殊窃盗罪を構成するとしても,前訴の確定判決による一事不再理効は,後訴に及ばないとして事例  最判平成15年10月7日

前訴及び後訴の各訴因が共に単純窃盗罪である場合には,両者が実体的には一つの常習特殊窃盗罪を構成するとしても,前訴の確定判決による一事不再理効は,後訴に及ばないとして事例 最判平成15年10月7日★ 一事不再理効は、公訴事実の同一性・単一性の範…

被告人の現住建造物等放火等の前科に係る証拠を被告人と起訴に係る現住建造物等放火の犯人の同一性の証明に用いることは,前科に係る犯罪事実に顕著な特徴があるとはいえず,同事実と起訴に係る犯罪事実との類似点が持つ両者の犯人が同一であることを推認させる力がさほど強いものではないなどの事情の下では,被告人に対して放火を行う犯罪性向があるという人格的評価を加え,これをもとに被告人が犯人であるという合理性に乏しい推論をすることに等しく,許されないとした事例 最判平成24年9月7日

平成23年(あ)第670号 住居侵入,窃盗,現住建造物等放火被告事件 平成24年9月7日 第二小法廷判決 ★ 前科も一つの事実であり、前科証拠は、一般的には犯罪事実について、様々な面での証拠の価値(自然的関連性)を有している。しかし、前科、特に…

マゼンダ色の利用に商標権侵害が成立するか。T-Mobile US社 vs Aio社

http://wired.jp/2013/09/09/t-mobile-and-att-squabble-over-pink マゼンタ色の利用は商標侵害? 米国携帯通信事業者の争いテキサス州の連邦地裁に提出された訴状で、T-Mobile社と親会社のドイツテレコム(DT)社は、「遠距離通信サーヴィス分野においてT-M…

原告が提供するウェブサイトの入力フォームのアシスト機能に係るサービスである「ナビキャスト」の内容を説明するための資料について、表現上の創作性が認められた事例 平成25年09月12日 東京地方裁判所 

原告が提供するウェブサイトの入力フォームのアシスト機能に係るサービスである「ナビキャスト」の内容を説明するための資料について、表現上の創作性が認められた事例 平成25年09月12日 東京地方裁判所 平成25年9月12日判決言渡 同日原本領収 裁判所書…

建築士法による一級建築士への懲戒処分において処分基準が定められている場合に、処分基準の内容及び適用関係についてまで明らかにする必要があるとした事例 最判平成23年6月7日

建築士法による一級建築士への懲戒処分において処分基準が定められている場合に、処分基準の内容及び適用関係についてまで明らかにする必要があるとした事例最判平成23年6月7日■ 判旨 行政手続法14条1項本文が,不利益処分をする場合に同時にその理由…

公共の危険の認識について、認識不要説にたった判例 最判昭和60年3月28日

最判昭和60年3月28日 ★ 公共の危険の認識について、認識不要説にたった判例 主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人前田裕司、同中川瑞代、同栗山れい子、同山花貞夫、同栗山和也、同西畠正、同井上章夫の上告趣意のうち、原判決がいわゆる共謀共同正…

108条・109条1項所定の物に延焼する危険が生じることは必要ではなく、「公共の危険とは不特定または多数の人々の生命・身体・財産に対する危険」で足りるとした事例・最判平成15年4月14日

最判平成15年4月14日 108条・109条1項所定の物に延焼する危険が生じることは必要ではなく、「公共の危険とは不特定または多数の人々の生命・身体・財産に対する危険」で足りるとした事例 主 文 本件上告を棄却する。 当審における未決勾留日数中510…

クロロホルム事件判決 最判平成16年3月22日

クロロホルム事件判決 最判平成16年3月22日 第1 クロロホルム判決 1 クロロホルム判決は、客観的に存在した第1行為だけでは実行の着手を認めるのが困難であったため、行為者の計画を考慮することにより、すなわち、主観的に行為者が想定した第1行為…

建築物の著作物性 大阪高裁平成16年9月29日

平成15年(ネ)第3575号 著作権侵害差止等請求控訴事件 (原審・大阪地方裁判所平成14年(ワ)第1989号〔第1事件〕、同第6312 号〔第2事件〕) 判決 控訴人(1審両事件原告) 積水ハウス株式会社 同訴訟代理人弁護士 溝上哲也 同 岩原義則 被…

裁判傍聴記の著作物性 ライブドア裁判傍聴記事件 知財高裁平成20年7月17日

平成20年7月17日判決言渡 平成20年(ネ)第10009号発信者情報開示等請求控訴事件 (原審・東京地方裁判所平成19年(ワ)第9982号) 平成20年6月10日口頭弁論終結 ■ 判旨 著作権法による保護の対象となる著作物は,「思想又は感情を創…

アメリカ国際貿易委員会 任天堂wiiは特許侵害にあたらず。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MT18QP6K50XS01.html 任天堂のWiiは特許侵害せず−米ITCが輸入差止要請却下 米国際貿易委員会(ITC)は同委ウェブサイトに掲載した文書で、アポロ・グローバル・マネジメントの傘下にあるテーマパーク運営会社…

 所有権確認請求訴訟で敗訴した原告が後訴において共有持分の取得を主張することが前訴の確定判決の既判力に抵触して許されないとされた事例 最判平成9年3月14日 

所有権確認請求訴訟で敗訴した原告が後訴において共有持分の取得を主張することが前訴の確定判決の既判力に抵触して許されないとされた事例 最判平成9年3月14日最判平成9年3月14日最高裁の多数意見は、所有権確認訴訟で敗訴したときには、所有権を…

一部請求後の残部請求 最判平成10年6月12日

最判平成10年6月12日 一部請求後の残部請求 最判昭和37年8月10日では、一部請求後の残部請求について、「移この債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合は、訴訟物となるのは、右債権の一部の存否のみであっ…

電子出版権について中間報告

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/shuppan/h25_07/gijishidai.html電子出版権について文化審議会著作権分科会出版関連小委員会は、中間まとめを発表していましたね。現在の著作権法には、出版権(第79条から第88条)の規定はありますが、電子…

役務の明確性及び区分の適否(商標法6条1項,2項)について、指定役務の明確性を欠くとして、商標法6条1項、2項の拒絶理由があると判断された事例 知財高裁平成25年9月5日

平成25年9月5日判決言渡 平成25年(行ケ)第10067号 審決取消請求事件 口頭弁論終結日 平成25年7月18日役務の明確性及び区分の適否(商標法6条1項,2項)について、役務の明確性を欠くとして、商標法6条1項、2項の拒絶理由があると判…

 保証人が主たる債務を相続したことを知りながら保証債務の弁済をした場合,当該弁済は,特段の事情のない限り,主たる債務者による承認として当該主たる債務の消滅時効を中断する効力を有するとされた事例   最判平成25年9月13日

保証人が主たる債務を相続したことを知りながら保証債務の弁済をした場合,当該弁済は,特段の事情のない限り,主たる債務者による承認として当該主たる債務の消滅時効を中断する効力を有するとされた事例 最判平成25年9月13日■ 判旨 主たる債務を相続…

英家電ダイソン vs サムスン電気 英裁判所

英家電メーカーのダイソンは、同社のサイクロン型掃除機で使われている特許技術を侵害したとして韓国のサムスン電子<005930.KS>を英裁判所に提訴する手続きに入ったと発表した。ダイソンは声明で、サムスンの掃除機「モーションシンク」の操作性に関するメ…

ほっとレモン事件 知財高裁 平成25年8月28日

平成25年8月28日判決言渡 平成24年(行ケ)第10352号 商標登録取消決定取消請求事件 ■ 当事者・代理人原告 カルピス株式会社 訴訟代理人弁護士 熊 倉 禎 男 同 相 良 由 里 子 同 佐 竹 勝 一 訴訟代理人弁理士 中 山 真 理 子 同 苫 米 地 正 …

敷引特約と消費者契約法10条 (特約は有効とされた事例) 最判平成23年3月24日 

最判平成23年3月24日敷引特約の法的性質については、個別の契約の内容が何を内容としているかに依存するが、一般には、通常損耗など補修費用、謝礼、更新料免除の対価、空き室損料、賃料低額化の代償等様々な趣旨を含むものであると考えられている。 本…

プロダクト・バイ・プロセス・クレーム解釈 知財高裁平成24年1月27日

知財高裁平成24年1月27日 プロダクト・バイ・プロセス・クレーム解釈物の発明において、特許請求の範囲をその物の製造方法の記載によってなすものをプロダクト・バイ・プロセス・クレームといいます。 製造工程α・β・γにより生産される物質Dのようなも…

氷山印事件 最判昭和43年2月27日 

氷山印事件 最判昭和43年2月27日 ■ 判旨 商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによつて決すべきであるが、 それには、そのような商品に使用された商標がその…

『おめでとう東京』で商標法・不正競争防止法違反? 

新聞報道にて、オリンピック及びそのような著名表示を不正利用する広告を制限される旨の報道がありましたね。 (http://www.j-cast.com/2013/09/10183517.html) しかし、本当に『おめでとう東京』で商標法・不正競争防止法違反となるのでしょうか。 商標権…

吸収合併等の反対株主の株式買取請求における「公平な価格」の算定日 最高裁平成23年4月19日決定

吸収合併等の反対株主の株式買取請求における「公平な価格」の算定日 最高裁平成23年4月19日決定 ■ 結論 ■ 完全子会社を承継会社とする吸収分割で企業価値のシナジーその他の増加も生じない場合の「公正な価格」の意義① 会社法782条1項所定の吸収合…

ロクラクⅡ最高裁判決 最判平成23年1月20日

最判平成23年1月20日 ロクラクⅡ最高裁判決 本判決は、被告が行う番組機器に対して放送番組等に係る情報を入力するといったその行為がなければ利用者が複製することはおよそ不可能であるということをもって、被告自身を間接侵害者ではなく、複製主体であると…