アメリカ国際貿易委員会 任天堂wiiは特許侵害にあたらず。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MT18QP6K50XS01.html
任天堂のWiiは特許侵害せず−米ITCが輸入差止要請却下

米国際貿易委員会(ITC)は同委ウェブサイトに掲載した文書で、アポロ・グローバル・マネジメントの傘下にあるテーマパーク運営会社クリエイティブ・キングダムズが所有する特許を任天堂は侵害していないとの判断を示し、Wiiとリモコンの輸入差し止めの申し立てを退けた。

クリエイティブ・キングダムズが開発したマジックワンド(魔法のつえ)はテーマパークで来園者が呪文を唱えてゲームをする際に使う機器。同社はそれに採用した動きを感知するセンサーと同じ技術がWiiのコントローラーに組み込まれていると主張していた。

との報道がありました。
 
 そのような紛争が生じているとは知りませんでしたし、アメリカ国際貿易委員会という機関についても恥ずかしながらあまり知らないので、軽く調べてメモしておきます。



 アメリカ国際貿易委員会(International Trade Commission)*1とは、アメリカ大統領、USTRや議会から、独立した国際貿易・関税等に関する調査機関です。

※1
(http://www.usitc.gov/press_room/mission_statement.htm

The mission of the U.S. International Trade Commission is to:
(1) administer U.S. trade remedy laws within its mandate in a fair and objective manner;
(2) provide the President, the United States Trade Representative (USTR), and Congress with independent, quality analysis, information, and support on matters relating to tariffs and international trade and competitiveness; and
(3) maintain the Harmonized Tariff Schedule of the United States.

In so doing, the Commission serves the public by implementing U.S. law and contributing to the development of sound and informed U.S. trade policy.


 特に、輸入製品が米国特許や著作権などを侵害したものである場合、限定排除命令(Limited Exclusion Order)か一般排除命令(General Exclusion Order)を行う等強い権限を有しています。

 また、審理が非常に早く、陪審員の判断も経ないことから、知財などでよく利用されているようです。

 まぁ、アメリカの訴訟手続といえばなかなか時間がかかる*2(中国は2審制で逆に書面心証でほとんど完結しているので裁判は早い)、審理が速い手続であるということは、企業にとって非常に魅力的があるのでしょう。

※2 例えば、広範なディスカバリー(discovery)が認められているため、特権によって制限されている場合を除き、いずれの当事者の請求または防御に関するいかなる事項についても開示される一方で、不利にならないためにあらゆる書類を相手方に送ることもあり、ディスカバリーでの証拠を審査するだけで相当の期間がかかるらしいです。


 また、陪審員もやっかいなもので、イギリスから独立する際には、地域保護主義を行う機関として、植民地の利益を守る役割を果たしていた一方で、あの有名なテキサス州東部地区連邦地方裁判所のように裁判官と陪審員が結託して、特許裁判の勝率をあげて、町おこしをするような日本では考えられない事態があったりするそうです。

 このケースから米国国際貿易委員会が米国よりの判断をしていないとは判断できないのですが、公平で客観的な判断がなされているのだという期待を持てるといいですね。