窃盗罪

窃盗罪
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪として、10年以下の懲役又は50年以下の罰金に処する

 占有とは、財物に対する事実上の支配をいう。
*奪取罪における侵害行為の対象となるものであるから、委託物横領罪における占有とは異なり、法律上の占有は含まない。

代理人による占有は含まない

*占有には、占有意思(財物を事実上の支配する意思と占有の事実(財物を事実上支配している状況)から成り立つ。


*占有の有無 被害者が所在を違式しておいた場合でなくても、距離時間が短ければ、被害者の事実的支配力がなお及んでいると解される傾向

被害者の事実上の支配を離れた物であっても、被害者以外の第三者の占有が認められる。


*死者の占有
1 初めから財物奪取の意思で殺害し、その後に財物を奪う場合には、強盗殺人罪が成立する。
2 被害者が殺した後に初めて財物奪取の意思を生じた場合は、被害者が生前に有していた占有は、被害者を死に至らしめた班員に対する関係で、被害者の死亡と時間的・場所的に近接した関係にある以上、なお、刑法的保護に値するものであり、一連の行為として評価すると、占有離脱があったものとして、窃盗罪が成立する。

3 被害者以外の第三者が屍体から財物を奪う場合には、遺失物等横領罪(254条)が成立する。


*占有の帰属
 財物の占有が被害者にあるのか、行為者にあるのか
1 共同所有関係
 共同所有関係に移すことは、他者の占有を侵害するものであり、窃盗罪が成立する
2 上下・主従関係
・下位者には独立の占有がない場合−単なる占有補助者にすぎないないので、下位者には刑法上保護に値する占有があるとはいえない。
 したがって、下位者が上位者の占有を侵害して財物の占有を取得すれば窃盗罪が成立する。
・双方に占有がある場合−従たる占有者が主たる占有者の同意を得ずに、主たる占有者の占有を侵害した場合には、窃盗罪
・下位者のみに占有がある場合
 下位者に財物の処分権限が認められている場合には占有は下位者のみあると考えらえる。したがって、上位者が下位者に無断で占有を侵害すれば、窃盗罪が成立する。

*窃盗とは、占有者の意思に反して、財物を自己又は第三者の占有に移す行為をいう。

実行の着手は、占有侵害の現実的危険を惹起する開始した時点で実行の着手を認めることができるが、現実的危険の有無は、財物の性質、形状、行為の態様などの諸藩の事情を総合的に評価して判断すべきである。

既遂時期は、他人の占有を排し、財物を行為者又は第三者の占有に移した時と解される(取得時)

故意のほかに、不法領得の意思が必要

罪数は、原則として、窃盗行為の数を基準とする。
窃取したキャッシュカードや預金通帳を利用して現金を引き出すように、新たな法益侵害が認められるとして、別に窃盗罪・詐欺罪を構成する。