民事

 最判平成22年6月1日 売買契約の目的物である土地の土壌に,上記売買契約締結後に法令に基づく規制の対象となったふっ素が基準値を超えて含まれていたことが,民法570条にいう瑕疵に当たらないとされた事例

※民法570条「売買の目的物に隠れた瑕疵があったちきは、第566条の規定を準用する。」と規定し、「瑕疵」とは、目的物に何らかの欠陥があることをいい、何らかの欠陥があるかの判断は、客観的な当該目的物が通常備えるべき品質・性能が基準のみならず、…

最判平成22年6月29日 権利能力のない社団を債権者とする場合には、強制執行の申立書に,当該社団を債務者とする執行文の付された上記債務名義の正本のほか,上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の上記債権者と当該社団及び上記登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書を添付して、当該社団を債務者とする強制執行の申立てをすべきとした事例

※権利能力のない社団に対しても、当事者能力を有するので(民事訴訟法29条,民事執行法20条)、債権者は社団の構成員全員の総有に属する財産に対して強制執行をすることができるが、その方法が問題となる。 ※この点、権利能力のない社団の構成員の総有不…

最判平成21年1月22日 預金者の共同相続人の一人は,共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座の取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができるとした事例

※共同相続をめぐる預金口座の取引経過開示請求につき、①金融機関は,預金契約に基づき,預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負うこと、②預金者の共同相続人の一人は,共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義…

最判平成25年4月12日 イレッサ訴訟 医療用医薬品について製造物責任法2条2項にいう「通常有すべき安全性」が確保されるために必要な情報とその提供方法

※製造物責任法2条2項の「欠陥」とは、「当該製造物の特性,その通常予見される使用形態,その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して,当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。」とされる。※医薬…

最判平成23年4月22日  契約の一方当事者が契約の締結に先立ち信義則上の説明義務に違反して契約の締結に関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合の債務不履行責任の有無

最判平成23年4月22日 契約の一方当事者が契約の締結に先立ち信義則上の説明義務に違反して契約の締結に関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合の債務不履行責任の有無 ※民法上には、契約準備段階における当事者の義務について明…

十分な反論及び反証の機会を与える措置をとることなく、定年退職の告知の時から1年を経過するまでは賃金支払義務との関係では信義則上定年退職の効果を主張することができないと判断したことに釈明権の行使を怠った違法があるとした事例 最判平成22年10月14日

事件番号 平成20(受)1590 事件名 雇用関係存在確認等請求事件 裁判年月日 平成22年10月14日 法廷名 最高裁判所第一小法廷 裁判種別 判決 結果 破棄差戻し 判例集等巻・号・頁 集民 第235号1頁 原審裁判所名 名古屋高等裁判所 原審事件番号 平成20(ネ)308 原…

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項の規定に基づき男性への性別の取扱いの変更の審判を受けた者の妻が婚姻中に懐胎した子は,民法772条の規定により夫の子と推定されるのであり,夫が妻との性的関係の結果もうけた子であり得ないことを理由に実質的に同条の推定を受けないということはできないとした事例 最決平成25年12月10日

事件番号 平成25(許)5 事件名 戸籍訂正許可申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 裁判年月日 平成25年12月10日 法廷名 最高裁判所第三小法廷 裁判種別 決定 結果 破棄自判 原審裁判所名 東京高等裁判所 原審事件番号 平成24(ラ)2637 原審…

時効の期間の満了前6箇月以内の間に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者に法定代理人がない場合において,少なくとも,時効の期間の満了前の申立てに基づき後見開始の審判がされたときは,民法158条1項の類推適用により,法定代理人が就職した時から6箇月を経過するまでの間は,その者に対して,時効は,完成しないとした事例 最判平成26年3月14日

事件番号 平成25(受)1420 事件名 遺留分減殺請求事件 裁判年月日 平成26年03月14日 法廷名 最高裁判所第二小法廷 裁判種別 判決 結果 破棄差戻し 原審裁判所名 東京高等裁判所 原審事件番号 平成24(ネ)7255 原審裁判年月日 平成25年03月19日判示事項 精神上…

認知者は,民法786条に規定する利害関係人に当たり,自らした認知の無効を主張することができ,この理は,認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異ならないとした事例 最判平成26年3月28日

事件番号 平成25(受)442 事件名 認知無効確認請求事件 裁判年月日 平成26年03月28日 法廷名 最高裁判所第二小法廷 裁判種別 判決 結果 棄却 原審裁判所名 広島高等裁判所 原審事件番号 平成24(ネ)380 原審裁判年月日 平成24年11月29日 判示事項 認知者が血縁…

夫婦相互の日常家事代理権・表見代理 最高裁昭和44年12月18日

夫婦相互の日常家事代理権・表見代理 最高裁昭和44年12月18日761条 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を…