民事

最判平成22年6月17日 売買の目的物である新築建物に重大な暇疵がありこれを建て替えざるを得ない場合において,当該暇疵が構造耐力上の安全性にかかわるものであるため建物が倒壊する具体的なおそれがあるなど,社会通念上,建物自体が社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるときには,上記建物の買主がこれに居住していたという利益については,当該買主からの工事施工者等に対する不法行為に基づく建て替え費用相当額の損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として損害額から控除することはできないとした事

最判平成22年6月17日 売買の目的物である新築建物に重大な暇疵がありこれを建て替えざるを得ない場合において,当該暇疵が構造耐力上の安全性にかかわるものであるため建物が倒壊する具体的なおそれがあるなど,社会通念上,建物自体が社会経済的な価値…

最判平成22年10月19日 取消債権者が弁論準備手続で被保全債権を別の債権に変更したところ、この債権が訴訟提起後弁論準備手続に入る前に時効期間を経過していた場合、詐害行為取消訴訟の訴訟物である詐害行為取消権は、取消債権者が有する個々の被保全債権に対応して複数発生するものではないから、かかる変更は攻撃防御方法が変更されたにすぎず、訴訟提起により消滅時効は中断するとした事例

最判平成22年10月19日 取消債権者が弁論準備手続で被保全債権を別の債権に変更したところ、この債権が訴訟提起後弁論準備手続に入る前に時効期間を経過していた場合、詐害行為取消訴訟の訴訟物である詐害行為取消権は、取消債権者が有する個々の被保全…

最判平成22年4月8日 ネットの発信者情報に関して、接続業者に開示義務があるとした事例

最判平成22年4月8日 ネットの発信者情報に関して、接続業者に開示義務があるとした事例 事件番号 平成21(受)1049 事件名 発信者情報開示請求事件 裁判年月日 平成22年4月8日 法廷名 最高裁判所第一小法廷 裁判種別 判決 結果 棄却 判例集等巻・号・頁 民…

最判平成22年3月25日  金属工作機械部分品の製造等を業とするX会社を退職後の競業避止義務に関する特約等の定めなく退職した従業員において,別会社を事業主体として,X会社と同種の事業を営み,その取引先から継続的に仕事を受注した行為が,X会社に対する不法行為に当たらないとされた事例

最判平成22年3月25日 金属工作機械部分品の製造等を業とするX会社を退職後の競業避止義務に関する特約等の定めなく退職した従業員において,別会社を事業主体として,X会社と同種の事業を営み,その取引先から継続的に仕事を受注した行為が,X会社に…

最判平成22年6月17日 売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合において,当該瑕疵が構造耐力上の安全性にかかわるものであるため建物が倒壊する具体的なおそれがあるなど,社会通念上,建物自体が社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるときには,上記建物の買主がこれに居住していたという利益については,当該買主からの工事施工者等に対する不法行為に基づく建て替え費用相当額の損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として損害額から控除することはできないとした事

最判平成22年6月17日 売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合において,当該瑕疵が構造耐力上の安全性にかかわるものであるため建物が倒壊する具体的なおそれがあるなど,社会通念上,建物自体が社会経済的な価値…

最判平成22年1月26日 当直の看護師らが抑制具であるミトンを用いて入院中の患者の両上肢をベッドに拘束した行為が,診療契約上の義務に違反せず,不法行為法上違法ともいえないとされた事例

最判平成22年1月26日 当直の看護師らが抑制具であるミトンを用いて入院中の患者の両上肢をベッドに拘束した行為が,診療契約上の義務に違反せず,不法行為法上違法ともいえないとされた事例事件番号 平成20(受)2029 事件名 損害賠償請求事件 裁判年月日…

最判平成23年4月26日  精神神経科の医師の患者に対する言動と患者の言動に接した後にPTSD(外傷後ストレス障害)と診断された症状との間に相当因果関係があるということはできないとされた事例

最判平成23年4月26日 精神神経科の医師の患者に対する言動と患者の言動に接した後にPTSD(外傷後ストレス障害)と診断された症状との間に相当因果関係があるということはできないとされた事例 事件番号 平成21(受)733 事件名 損害賠償請求事件 裁判…

最判平成22年1月26日 非居住者の協力金の徴収は適法とした事例

最判平成22年1月26日 非居住者の協力金の徴収は適法とした事例事件番号 平成20(受)666 事件名 協力金請求事件 裁判年月日 平成22年1月26日 法廷名 最高裁判所第三小法廷 裁判種別 判決 結果 破棄自判 判例集等巻・号・頁 集民 第233号9頁 原審裁判所名 …

最判平成25年1月22日  地上権設定契約及び土地賃貸借契約において,ゴルフ場経営を目的とすることが定められているにすぎず,当該土地が建物の所有と関連するような態様で使用されていることもうかがわれないという事実関係の下においては,借地借家法11条の類推適用をする余地はないとした事例

最判平成25年1月22日 地上権設定契約及び土地賃貸借契約において,ゴルフ場経営を目的とすることが定められているにすぎず,当該土地が建物の所有と関連するような態様で使用されていることもうかがわれないという事実関係の下においては,借地借家法1…

最判平成26年7月24日  元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結された場合において,借主から約定の毎月の返済額を超過する額の支払がされたときには,当該超過額を将来発生する債務に充当する旨の当事者間の合意があるなど特段の事情のない限り,当該超過額は,その支払時点での残債務に充当され,将来発生する債務に充当されることはないとした事例

最判平成26年7月24日 元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結された場合において,借主から約定の毎月の返済額を超過する額の支払がされたときには,当該超過額を将来発生する債務に充当する旨の当事者間の合意があるな…

最判平成23年2月22日  遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定する「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には,当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生ずることはないとした事例

最判平成23年2月22日 遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定する「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係…

最判平成22年6月29日  葬儀場の営業を行う業者が,その近隣に居宅を共有してこれに居住する者に対し,上記居宅から葬儀場の様子が見えないようにするための目隠しを設置する措置を更に講ずべき義務も,葬儀場の営業についての不法行為責任も負わないとされた事例

最判平成22年6月29日 葬儀場の営業を行う業者が,その近隣に居宅を共有してこれに居住する者に対し,上記居宅から葬儀場の様子が見えないようにするための目隠しを設置する措置を更に講ずべき義務も,葬儀場の営業についての不法行為責任も負わないとさ…

最判平成26年9月5日 NHK放送受信料の時効 受信料が月額又は6箇月若しくは12箇月前払額で定められ,その支払方法が2箇月ごとの各期に当該期分を一括して支払う方法又は6箇月分若しくは12箇月分を一括して前払する方法によるものとされている日本放送協会の放送の受信についての契約に基づく受信料債権の消滅時効期間は,民法169条により5年と解すべきである。

最判平成26年9月5日 NHK放送受信料の時効 受信料が月額又は6箇月若しくは12箇月前払額で定められ,その支払方法が2箇月ごとの各期に当該期分を一括して支払う方法又は6箇月分若しくは12箇月分を一括して前払する方法によるものとされている日本放…

最判平成27年4月9日  責任を弁識する能力のない未成年者が,サッカーボールを蹴って他人に損害を加えた場合において,その親権者が民法714条1項の監督義務者としての義務を怠らなかったとされた事例

最判平成27年4月9日 責任を弁識する能力のない未成年者が,サッカーボールを蹴って他人に損害を加えた場合において,その親権者が民法714条1項の監督義務者としての義務を怠らなかったとされた事例事件番号 平成24(受)1948 事件名 損害賠償請求事件 …

最判平成22年12月16日 転得者による真正な登記名義の回復を原因とする中間省略登記の可否(許されないとした事例)

最判平成22年12月16日 転得者による真正な登記名義の回復を原因とする中間省略登記の可否(許されないとした事例) 事件番号 平成21(受)1097 事件名 持分所有権移転登記手続,遺産確認,共有物分割請求本訴,持分所有権移転登記手続請求反訴事件 裁判…

最判平成24年3月16日 不動産の取得時効の完成後,所有権移転登記がされることのないまま,第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において,上記不動産の時効取得者である占有者が,その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続し,その期間の経過後に取得時効を授用したときは,上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り,上記占有者が,上記不動産を時効取得する結果,上記抵当権は消滅するとした事例

最判平成24年3月16日 不動産の取得時効の完成後,所有権移転登記がされることのないまま,第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において,上記不動産の時効取得者である占有者が,その後引き続き時効取得に必要な期間占…

最判平成24年11月27日 金融機関Yをいわゆるアレンジャーとするシンジケートローンへの参加の招へいに応じた金融機関Xらに対しYが信義則上の情報提供義務を負うとされた事例

最判平成24年11月27日 金融機関Yをいわゆるアレンジャーとするシンジケートローンへの参加の招へいに応じた金融機関Xらに対しYが信義則上の情報提供義務を負うとされた事例要旨 金融機関Xらが,Aの委託を受けた金融機関Yから,Yをいわゆるアレ…

最判平成25年9月13日 保証人による主たる債務の相続と保証債務の弁済により消滅時効の中断・保証人が主たる債務を相続したことを知りながら保証債務の弁済をした場合,当該弁済は,特段の事情のない限り,主たる債務者による承認として当該主たる債務の消滅時効を中断する効力を有するとした事例

最判平成25年9月13日 保証人による主たる債務の相続と保証債務の弁済により消滅時効の中断・保証人が主たる債務を相続したことを知りながら保証債務の弁済をした場合,当該弁済は,特段の事情のない限り,主たる債務者による承認として当該主たる債務の…

最判平成14年3月28日 ビルの賃貸、管理を業とする会社を賃借人とする事業用ビル1棟の賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了した場合において、賃貸人が、賃借人にその知識、経験等を活用してビルを第三者に転貸し収益を上げさせることによって、自ら各室を個別に賃貸することに伴う煩わしさを免れるとともに、賃借人から安定的に賃料収入を得ることを目的として賃貸借契約を締結し、賃借人が第三者に転貸することを賃貸借契約締結の当初から承諾していたものであること、当該ビルの貸室の転借人及び再転借人が、上記のような目的の下に賃貸

最判平成14年3月28日 ビルの賃貸、管理を業とする会社を賃借人とする事業用ビル1棟の賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了した場合において、賃貸人が、賃借人にその知識、経験等を活用してビルを第三者に転貸し収益を上げさせることによって、自ら…

最判平成23年1月21日  不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に,当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合,上記の者は,上記登記後,賃借権の時効取得に必要とされる期間,当該不動産を継続的に用益したとしても,競売又は公売により当該不動産を買い受けた者に対し,賃借権を時効により取得したと主張して,これを対抗することはできないとした事例

最判平成23年1月21日 不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に,当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合,上記の者は,上記登記後,賃借権の時効取得に必要とされる期間,当該不動産を継続的に用益したとしても,…

最判平成23年10月18日 無権利者を委託者とする物の販売委託契約が締結された場合に,当該物の所有者が,自己と同契約の受託者との間に同契約に基づく債権債務を発生させる趣旨でこれを追認したとしても,その所有者が同契約に基づく販売代金の引渡請求権を取得すると解することはできないとした事例

最判平成23年10月18日 無権利者を委託者とする物の販売委託契約が締結された場合に,当該物の所有者が,自己と同契約の受託者との間に同契約に基づく債権債務を発生させる趣旨でこれを追認したとしても,その所有者が同契約に基づく販売代金の引渡請求…

最判平成23年12月16日 法令違反の建物の建築を目的とする請負契約等の公序良俗違反該当性

最判平成23年12月16日 法令違反の建物の建築を目的とする請負契約等の公序良俗違反該当性 事件番号 平成22(受)2324 事件名 請負代金請求本訴,損害賠償等請求反訴事件 裁判年月日 平成23年12月16日 法廷名 最高裁判所第二小法廷 裁判種別 判決 結果 破…

最判平成25年4月9日 建物部分と一体になっている看板等の撤去請求と権利の濫用

最判平成25年4月9日 建物部分と一体になっている看板等の撤去請求と権利の濫用 事件番号 平成24(受)2280 事件名 建物明渡等請求事件 裁判年月日 平成25年4月9日 法廷名 最高裁判所第三小法廷 裁判種別 判決 結果 破棄自判 判例集等巻・号・頁 集民 第243…

平成24年 重要判例要旨(民事系)

平成24年 重要判例要旨民法 最判平成24年5月29日 自動車保険契約の人身傷害補償条項の被保険者である被害者に過失がある場合において上記条項に基づき保険金を支払った保険会社による損害賠償請求権の代位取得の範囲要旨 保険会社は保険金請求権者の…

民法94条2項 第三者にあたる事例

民法94条2項 第三者にあたる事例民法94条1項 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。 2項 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗できない。■ 1項 *虚偽表示とは、表意者と相手方と通じてする真意でない意思表示 虚偽表…

最判平成26年7月17日 DNA鑑定で血縁が否定された場合でも嫡出推定が及ぶとして親子関係不存在確認の訴えで父子関係の存否を争うことはできないとした事例(大阪)(

※DNAという、『夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり,かつ,子が,現時点において夫の下で監護されておらず,妻及び生物学上の父の下で順調に成長しているという事情があっても,子の身分関係の法的安定を…

最判平成26年7月17日 DNA鑑定で血縁が否定された場合でも民法の嫡出推定が及ぶとされた事例(札幌)

事件番号 平成24(受)1402 事件名 親子関係不存在確認請求事件 裁判年月日 平成26年07月17日 法廷名 最高裁判所第一小法廷 裁判種別 判決 結果 破棄自判 判例集等巻・号・頁 原審裁判所名 札幌高等裁判所 原審事件番号 平成24(ネ)32 原審裁判年月日 平成24年0…

最判平成26年7月17日  嫡出否認の訴えについて出訴期間を定めた民法777条の規定は,憲法13条,14条1項に違反しないとした事例(高松)

最判平成26年7月17日 嫡出否認の訴えについて出訴期間を定めた民法777条の規定は,憲法13条,14条1項に違反しない。事件番号 平成26(オ)226 事件名 親子関係不存在確認請求事件 裁判年月日 平成26年07月17日 法廷名 最高裁判所第一小法廷 裁判…

最判平成23年2月22日  遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定する「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には,当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生ずることはないとした事例

事件番号 平成21(受)1260 事件名 土地建物共有持分権確認請求事件 裁判年月日 平成23年02月22日 法廷名 最高裁判所第三小法廷 裁判種別 判決 結果 棄却 判例集等巻・号・頁 民集 第65巻2号699頁 原審裁判所名 東京高等裁判所 原審事件番号 平成20(ネ)6006 原…

最判平成20年7月4日 コンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーンの運営者が,加盟店に代わって支払った商品仕入代金の具体的な支払内容について,加盟店に報告すべき義務を負うとされた事例

事件番号 平成19(受)1401 事件名 書類引渡等,請求書引渡等請求事件 裁判年月日 平成20年07月04日 法廷名 最高裁判所第二小法廷 裁判種別 判決 結果 破棄差戻し 判例集等巻・号・頁 集民 第228号443頁 原審裁判所名 東京高等裁判所 原審事件番号 平成19(ネ)8…