最判昭和46年7月16日 第三者に対する新株の有利発行と株主総会決議の欠缺
最判昭和46年7月16日 第三者に対する新株の有利発行と株主総会決議の欠缺
事件番号
昭和46(オ)396
事件名
新株発行無効確認請求
裁判年月日
昭和46年07月16日
法廷名
最高裁判所第二小法廷
裁判種別
判決
結果
棄却
判例集等巻・号・頁
集民 第103号407頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
昭和43(ネ)2782
原審裁判年月日
昭和46年01月28日
判示事項
株式会社の代表取締役が株主総会の特別決議を経ることなく株主以外の者に対して特に有利な発行価額をもつて新株を発行した場合と新株発行無効原因の有無
裁判要旨
株式会社の代表取締役が新株を発行した場合には、右新株が、株主総会の特別決議を経ることなく、株主以外の者に対して特に有利な発行価額をもつて発行されたものであつても、その瑕疵は、新株発行無効の原因とはならないものと解すべきである。
参照法条
商法280条ノ2
判旨
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告人の上告理由について。
株式会社の代表取締役が新株を発行した場合には、右新株が、株主総会の特別決議を経ることなく、株主以外の者に対して特に有利な発行価額をもつて発行されたのであつても、その瑕疵は、新株発行無効の原因とはならないものと解すべきである。このことは当裁判所の判例(最高裁判所昭和三九年(オ)第一〇六二号、同四〇年一〇月八日第二小法廷判決、民集一九巻七号一七四五頁参照)の趣旨に徴して明らかである。そうであれば、特別決議のないことをもつて本件新株発行の無効をいう上告人の本訴請求は、失当であつて、棄却を免れず、これを排斥した原審の判断は結論として相当であり、本件上告は、上告理由について判断するまでもなく、失当として棄却を免れない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 村 上 朝 一
裁判官 色 川 幸 太 郎
裁判官 岡 原 昌 男
裁判官 小 川 信 雄