最判昭和54年11月16日 決議無効確認の訴えと決議取消しの主張
最判昭和54年11月16日 決議無効確認の訴えと決議取消しの主張
事件番号
昭和54(オ)410
事件名
株主総会決議無効確認
裁判年月日
昭和54年11月16日
法廷名
最高裁判所第二小法廷
裁判種別
判決
結果
棄却
判例集等巻・号・頁
民集 第33巻7号709頁
原審裁判所名
東京高等裁判所
原審事件番号
昭和53(ネ)734
原審裁判年月日
昭和53年12月14日
判示事項
株主総会決議無効確認の訴が株主総会決議取消の訴の要件をみたしている場合における決議取消の主張と決議取消の訴としての出訴期間の遵守
裁判要旨
株主総会決議無効確認の訴の決議無効原因として主張された瑕疵が決議取消原因に該当し、しかも、右訴が決議取消訴訟の出訴期間内に提起されている場合には、決議取消の主張が出訴期間経過後にされたとしても、右決議取消の訴は出訴期間の関係では決議無効確認の訴提起時に提起されたのと同様に扱うのが相当である。
参照法条
商法247条,商法248条,商法252条
判旨
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人山根晃の上告理由について
商法が株主総会決議取消の訴と同無効確認の訴とを区別して規定しているのは、右決議の取消原因とされる手続上の瑕疵がその無効原因とされる内容上の瑕疵に比してその程度が比較的軽い点に着目し、会社関係における法的安定要請の見地からこれを主張しうる原告適格を限定するとともに出訴期間を制限したことによるものであつて、もともと、株主総会決議の取消原因と無効原因とでは、その決議の効力を否定すべき原因となる点においてその間に差異があるためではない。
このような法の趣旨に照らすと、株主総会決議の無効確認を求める訴において決議無効原
因として主張された瑕疵が決議取消原因に該当しており、しかも、決議取消訴訟の原告適格、出訴期間等の要件をみたしているときは、たとえ決議取消の主張が出訴期間経過後にされたとしても、なお決議無効確認訴訟提起時から提起されていたものと同様に扱うのを相当とし、本件取消訴訟は出訴期間遵守の点において欠けるところはない。
これと同旨に帰する原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。
論旨は、独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 塚 本 重 頼
裁判官 大 塚 喜 一 郎
裁判官 栗 本 一 夫
裁判官 木 下 忠 良
裁判官 鹽 野 宜 慶