最判昭和50年6月27日 代表取締役職務代行者による臨時総会の招集と会社の常務

最判昭和50年6月27日 代表取締役職務代行者による臨時総会の招集と会社の常務


事件番号
 昭和50(オ)157
事件名
株主総会決議取消請求
裁判年月日
 昭和50年06月27日
法廷名
最高裁判所第二小法廷
裁判種別
 判決
結果
 棄却
判例集等巻・号・頁
民集 第29巻6号879頁
原審裁判所名
 福岡高等裁判所
原審事件番号
 昭和49(ネ)352
原審裁判年月日
 昭和49年11月28日
判示事項
 少数株主の請求に基づく取締役解任を目的とする臨時総会の招集と商法二七一条一項の会社の常務
裁判要旨
 取締役の解任を目的とする臨時総会の招集は、少数株主による招集請求に基づくときでも、商法二七一条一項にいう会社の常務に属さない。
参照法条
 商法232条,商法235条,商法237条,商法270条,商法271条


判旨
         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人松木武の上告理由について。


 株式会社において、取締役の解任を目的とする臨時総会を招集することが、商法二七一条一項にいう「会社ノ常務ニ属セザル行為」にあたると解すべきことは、当裁判所の判例の趣旨とするところであり(最高裁昭和三五年(オ)第一四四七号同三九年五月二一日第一小法廷判決・民集一八巻四号六〇八頁参照)、このことは、右臨時総会の招集が、少数株主による招集の請求に基づくものであるときにおいても同様と解するのが相当である。けだし、会社の常務とは、当該会社として日常行われるべき通常の業務をいうのであり、取締役の解任を目的とする臨時総会の招集の如きは日常、通常の業務にあたらないと解すべきであるところ、その招集行為の性質そのものは、それが少数株主の総会招集請求に基づく場合であつても、なんら影響を受けないと解すべきであるからである。

 したがつて、右と同旨の原判決の判断は正当であり、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    吉   田       豊
            裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    小   川   信   雄
            裁判官    大   塚   喜 一 郎