平成19年 商法

平成19年

商法

□ 特に有利な金額
募集株式発行後の株式発行を争う方法
新株発行無効の訴え(828条1項2号)
(1)有利発行に当たるにもかからず株主総会の特別決議を欠いている点
(2)取締役会の招集通知に瑕疵があり、その結果、募集株式発行に関する取締役会決議を欠いている点
(3)募集株式の発行が不公正発行に当たるという点


募集株式無効の訴えが退けられた場合の損害賠償責任
① 会社の対する損害賠償責任(423条1項)
② 不法行為に基づく損害賠償責任(民法709条)
③ 差額払込み責任

特に有利な金額とは、公正な払込金額と比較して特に低い払込金額をいう。
公正な払込金額の評価としては、原則として、払込金額を決定した取締役会決議の直前の株式の時価(株価)をもって公正な払込金額とするが、払込金額決定前の当該会社の株式価格、当該株価の騰落習性、売買出来高の実績、会社の資産状況、収益状況、配当状況、発行済株式数、新たに発行される株式数、株式市場の道交、これらから予測される新株の消化可能性等の諸事情を総合し、旧株主の利益と会社が有利な資本調達を実現するという利益との調和の中に求められるべきものであって、払込金額がこれらの事情を考慮して合理的に定めらえれていればこれを公正な価格であると認められる。


日本証券業協会の自主ルール
払込金額は、当該草子にかかる取締役会決議の直前日の価額(直前日における売買がない場合は、当該直前日からさかのぼった直近日の価額)に0・9を乗じた額以上の価格であること。ただし、直近日又は直前日までの価格又は売買高の状況等を勘案し、当該決議の日から払込み金額を決定するために適当な期間(最長6か月)をさかのぼった日から当該決議の直前日までの間の平均の価額に0・9を乗じた額以上の価格にすることができる。



□ 取締役の一部が海外出張中に行われた取締役会決議の効力
手続上の瑕疵の例として、招集権者以外の者による招集・招集通知期間の不足・招集手宇内漏れ・監査役への不通知・定足数の不足・不十分な審議・特別利害関係を有する取締役の参加による決議の成立


 取締役会の決議に手続又は内容上の瑕疵がある場合については、会社法は、株主総会決議の場合のような特別な訴えの制度を用意していない。そのため、手続または内容上の瑕疵がある取締役会の決議は、民法上の一般原則により無効となる。

無効主張ができる者・向こうの主張ができる期間・無効の主張の方法に制限はない。
軽微な手続法上の瑕疵により決議が当然に無効となると解すべきではない。

取締役会の開催にあたり、取締役会の開催に当たり、取締役の一部の者に対する招集通知を欠くことにより、その招集手続に瑕疵があるときは、特段の事情がない限り右瑕疵のある招集う手続に基づいて開かれた取締役会の決議は無効になると解すべきである
しかし、その取締役が出席してもなお決議の結果に影響がないと認められるべき特段の事情があるときは、その瑕疵は決議の効力に影響を及ぼさないとして決議は有効になる。


□ 募集株式の発行の無効事由【不公正発行】
「著しく不公正な方法」による募集株式等とは、法令又は定款の具体的規定には違反しないが、その発行等が著しく公正を欠く場合のことをいう。

①会社支配の帰属をめぐる争いがあるときには取締役が議決権の過半数を維持・争奪する目的である場合
②反対派の少数株主権を排斥する目的のため募集株式を行う場合

主要目的ルール
株式会社においてその支配権に争いがある場合にその募集株式の発行が現経営者の支配権を維持することを主要な目的をとしてなされたものであるときは不公正発行にあたる