文書特定手続

相手方や第三者の下にある文章について、その存在を知り得た場合でも、その文章の表示や趣旨(221条1項1号、2号)を明らかにすることは困難である。そこで、222条は、文章提出命令の申立要件を緩和し、合わせて文章特定のための手続を用意している。


222条
1項
文書提出命令の申立てをする場合において、前条第1項第一号又は第二号に掲げる事項を明らかにすることが著しく困難であるときは、その申立ての時においては、これらの事項に代えて、文書の所持者がその申立てに係る文書を識別することができる事項を明らかにすれば足りる。この場合においては、裁判所に対し、文書の所持者に当該文書についての同項第一号又は第二号に掲げる事項を明らかにすることを求めるよう申し出なければならない。
2項
前項の規定による申出があったときは、裁判所は、文書提出命令の申立てに理由がないことが明らかな場合を除き、文書の所持者に対し、同項後段の事項を明らかにすることを求めることができる。


文章特定手続
? 文章提出命令の申立てがあること
? 文章の表示又は文章の趣旨を明らかにすることが著しく困難であること
? 文章所持者がその申立てにかかる文章を識別することができる事項を明らかにすること

文章特定が著しく困難とは、申立人が対象文章の制作過程に関与していない等の制作過程を知る機会がない場合や対象文章の制作の経緯を知らないときなど、申立人の生活圏・支配領域の外側に文章がある場合をいう。


特定困難性の要件として、弁護士会照会・当事者照会(163条)・。証人尋問・当事者尋問などを経てもなお特定できないというまでは不要で、これらの手段を取ったことは判断にあたり考慮されるにすぎない。


文章を識別することができる事項とは、特定よりも緩やかな識別可能性で足りるとすることで、文章提出命令申立人の義務が緩和されている。
文書識別可能時効とは、文章の所持者において、その事項が明らかにされれば、不相当な時間や労力を要しないで、当該申立てにかかる文章あるいはそれを含む文章グループを他のものと区別できる事項をいう。


*不開示の効果
A 発令否定説
B 発令肯定説
C 再評価説